2013/05/07
川島道行(g,vo)に脳腫瘍が見つかり、治療/療養の為に【EMBRACE TOUR 2013】各公演をキャンセルしたBOOM BOOM SATELLITES。5月3日 初の日本武道館ワンマンライブにて復活を果たした。
<初の日本武道館をじっくりと味わう>
フルHDの巨大LED(576ドット×180ドット)が設置されたステージに登場すると、2人は深々とファンに向かって頭を下げ、最新アルバム『EMBRACE』同様「ANOTHER PERFECT DAY」「HELTER SKELTER」(ザ・ビートルズカバー)「BROKEN MIRROR」を冒頭から連発。サポートドラマーの刻むエモーショナルなビートに合わせ、武道館を所狭しと駆け回りながら、巨大なダンスフロアを創造していく。特に真紅に染まった世界で放たれた「HELTER SKELTER」は、座席を取っ払ったアリーナエリアはもちろん、会場中を激しく扇情した。
<これまでのどの公演よりBOOM BOOM SATELLITES>
また、ノンストップで曲を繋ぐスタイルが主流の彼らだが、この日は1曲を終える度に歓声と拍手を浴び、サウンドや空間はもちろんのこと、人々の息吹ひとつひとつをじっくりと味わっているのが印象的だった。本格的に音楽シーンの崩壊が危惧され出した2009年頃、彼らは人の営みをイメージしながら曲を作るというスタイルも取り入れ、ロックとダンスミュージックの融合という初期テーマにとどまらない、より血の通った音楽を生み出すようになる。それから明確に進化の一途と辿っていたBOOM BOOM SATELLITESによるステージ。バンドの継続を証明する武道館公演は、これまでのどの公演より人間くさいものであった。
<最後は「STAY」優しくも力強い一本の声に中野も……>
本編終盤のキラーチューン連発で踊りまくる観客を目前にし、再びステージに現れた川島は「皆さんにはご心配をかけましたが、元気に帰って来ることが出来ました。お互いの存在を確かめ合うことができる“ライブ”という現場に戻ってくることが出来て本当に幸せです。最高の夜です」と、コメント。アンコールの最後には、ここ数年で幾つもの伝説を生んできたバラード「STAY」を披露する。光と音の渦の中から鮮明に突き刺さる、優しくも力強い一本の声。それに呼応するように隣の中野雅之(programming, b)も瞳を潤ませ、いつになく感情的な表情を覗かせる。もちろん、観客の多くは涙だ。
<どうしても言いたかった一言「BOOM BOOM SATELLITESでした!」>
すべての曲を届け終えた彼ら。去り際にどうしても言いたかったと、川島は「BOOM BOOM SATELLITESでした!」と挨拶する。ステージに立つ者なら誰もがする挨拶だが、彼にとってこの日この場所で「BOOM BOOM SATELLITESでした」と最後に言えることは、何ものにも代え難い喜びだったのだろう。
「5月3日の武道館は音楽家、また表現者のひとりとして全力で挑みます。沢山の人達に心配と迷惑をお掛けしましたが、この日はまだバンドが生き続けている事を証明する日にしたいです。川島道行」その約束はしっかりと守られた。
取材&テキスト:平賀哲雄
◎ライブ【BOOM BOOM SATELLITES EMBRACE TOUR 2013】
05月03日(金・祝)日本武道館 SET LIST:
01.ANOTHER PERFECT DAY
02.HELTER SKELTER
03.BROKEN MIRROR
04.DISCONNECTED
05.MORNING AFTER
06.BACK ON MY FEET
07.SNOW
08.EMBRACE
09.FOGBOUND
10.MOMENT I COUNT
11.EASY ACTION
12.KICK IT OUT
En1.NINE
En2.DIG THE NEW BREED
En3.DRESS LIKE AN ANGEL
En4.STAY
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